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魅力的な動画には「明かり」が不可欠!? 意外と知られていない裏側に迫る|第1回

私たちにとって非常に身近で手軽な映像コンテンツとして楽しまれている、YouTube。今やスマホ一台で誰でも映像鑑賞や動画投稿が可能な時代。いつでも手軽に映像作品に触れることが可能になったが、実際に自分で撮ってみると想像の中にあるような動画を生み出すことは難しい。普段は何気なく観ている映像も、その撮り方一つの違いでクオリティが変わってくることに気付くだろう。
今回のゲストは、「日本一映像を楽しむビデオグラファー(映像作家)」として面白い撮影の仕方や使える機材の紹介、購入レビューなどを幅広く発信しているDAIGENさん。自身が観ていて心地いいと思うものや、こんな風に撮れるようになりたいと感じる映像制作に密接に関わるのは、難しい編集技術よりも先に「明かり」だった。

全4回で、DAIGENさんの見る明かりの世界に踏み込んでみる。


DAIGEN氏プロフィール

1985年北海道生まれ。2009年より製薬会社にて勤務するも、家族に自分が人生を楽しんでいる姿を見てほしいとの思いから2018年に退社し、動画制作会社を設立。MVや企業PVの制作、YouTubeのプロデュースを行う。現在はYouTube以外にもオンラインサロンや映像制作のスキル教材の販売なども行っている。https://www.youtube.com/@DAIGEN_


ビデオグラファー、YouTuberとして多くの映像制作に関わってきたDAIGENさん。一般の方にとっても、明かりは生活する上で欠かせないものであることは間違いないが、特に明かりの調整などを意識するのは映像に携わるプロならではだろう。彼の歩んできた道のりと共に、どういった形で明かりと関わってきたのかを聞いてみた。

ーー製薬会社社員という立場から、映像制作会社の設立やYouTuberへと転身されたDAIGENさんですが、YouTubeを始めた目的とはなんだったのでしょうか?

DAIGEN:目的と言っていいのか分からないですが、映像制作に多くの方に関わってもらいたい、というのが主な目的です。僕の専門は動画なんですが、例えばVlog(※ビデオログの略称。自分の身の回りのことなどをブログのような文章ではなく、動画で説明するもの)なんかは一般の方でも撮り始めている人は増えていますよね。そういった方たちや、始めたいと思うけどなんとなく敷居が高い、と考えている方たちに、映像制作は楽しくて決して難しいものではない、ということを伝えたかったのが始めたきっかけでしょうか。

ーーDAIGENさんはYouTubeの中で自身の制作された作品の公開などもされているかと思いますが、その中で明かりとはどのような役割を持っているのでしょうか?

DAIGEN:明かりは画面内をデザインするのにとても重要な役割を持っています。被写体、つまり見せたいものを適切な光量で照らせているか、演出として適切に見せられているか、という点に大きく影響します。同じ被写体でも、明るく照らせばそれ自体にフォーカスすることが出来るし、逆に暗く見せれば映像全体に注目を集めることができます。動画を作る上で明かりを使う場面はとても多く、一番気を使うところでもありますね。

ーー適切な光量、というのは具体的に……?

DAIGEN:これが言葉にするのは難しいんですが(笑)、例えばハッピーな気分だと物事が明るく見えてくるものですし、暗い気分だと世界に陰影がついたりして見える、というようなことを可視化する、ということだと思います。作りたい世界観や見せたいもののイメージ、性質を捉えて表現することを、適切であると考えていますね。

ーー明かりの色、などもそういったことに関わりますか?

DAIGEN:色も重要な要素だと思います。明かりにはケルビンと呼ばれる光の色を表す指標があって、青白い光を強調するのか、暖色を強調するのか、などを設定することがイメージ作りにかなり密接に関わってきます。例えば、夜のシーンで陰影がついている部分に、青白い明かりをホワッと足すだけでも、ムーディーな印象に変わってきたりしますよ。

ーー今は、動画編集ソフトでも明かりの調整というのがかなり緻密に行えるようになっていますよね。DAIGENさんも調整は行っているのでしょうか? また、調整できる以上は撮影環境の明かりはそこまで気を遣わなくていいものなのでしょうか?

DAIGEN:僕は、かなり調整をする方だと思います。撮ってそのまま調整をせずにYouTubeにアップ、ということはほとんどしないですね。先にも言ったように明かりの印象はそのまま映像全体のイメージを決めるので、表現したい感情に合わせて明かりの色や強弱を調整する必要があると思っています。また、調整するからといって撮影現場での明かりは気にしないかというと、そんなことはありません。むしろ、90%くらいは現場でキッチリと作っておきます。例えば、窓に光が集まりすぎて白く明かりが飛んでいる、などといった場合は、もう後で見えるようにはできないんですよね。赤いものを青くする、といったことも難しいので、撮影現場での明かりの調整は必須項目であると考えています。

自然光のみで撮られているように見えるカットだが、逆光で見えづらくなる表情を見せるために正面からライトを当てている。こういった明かりの調整が印象深い映像を作り出すのに一役買っているそう。

DAIGENさんから映像制作における明かりの持つ重要性、そしてその役割について教わることができた。次回は、その制作に関わる明かりの扱い方についてより深く聞いていく。次回の更新をお楽しみに。

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